青城SS | ナノ
「俺んちすぐそこなんだけど、こねえ?」
「うっわ、ナンパみたい」
「ナンパじゃねぇ。口説いてんだわ」
「まじか。私今から口説かれんのか」
「そう。口説かれてください」
「ちなみに部屋いってなにするの?」
「映画を見ます」
「ほう」
「いい感じのところで手を握ります」
「ホラー映画見て奥歯ガタガタいわせて、背後の恐怖に耐えかねて手を握る?」
「違う。せつないラブストーリーを見て、感化されて手を握る」
「なるほど。続けて」
「そんで目と目が合います」
「映画はどうした? 貴大の顔よりつまんないの?」
「違う。手を握られたらドキ! ってなんの」
「ほーう。それで?」
「見つめ合って、引かれ合うようにキスをする」
「え? 違うくない? 素直にお喋りできなくなるんでしょ?」
「いや、それ名曲だけれども!」
「いい歌よね。私のお母さんが大好きなの」
「あ、まじで? て、そうじゃねぇ!」
「えー、なに?」
「……ナマエさん? 空気つくる前にことごとく壊すのなんなの? 俺、振られてんの?」
「そういうわけじゃないよ? 口説くの下手なだけじゃん?」
「それ、ちょ、……え?」
「どうした? 無事?」
「瀕死です」
「貧弱ー」
「どうしたら口説かれんの?」
「貴大」
「……はい」
「これから私の部屋にいくけど、意味、わかってるよね?」
「……まじ優勝」
「出直してきてくださーい」
「ナマエ」
「お、リベンジ早いね」
「映画、なんか見たいのある?」
「んー、クリスマスに家族に置き去りにされて、強盗から家を守るような映画」
「ドキってする場面、まあ、……あるか。でもよ、せめて空気くらいつくらせて!?」

先は長い。

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